学級経営に生きる「小さな道徳授業」をつくる /// 第8回 学級に対する安心感を高める【問題編】
連載第8回 学級に対する安心感を高める【問題編】
教師のチカラ編集委員 鈴木健二
- 安心感を高める
- おすすめの素材
- 言葉の意味を押さえる
- 自分自身を問い直すことが基盤になる
1.安心感を高める
新年度がスタートしてもしばらくは、不安な気持ちを抱えたままの子どもがいる。
仲の良い友だちができていなかったり、学級の雰囲気に馴染めなかったりする子どもである。
そのような子どもたちの不安な気持ちを少しでも軽減し、安心感のある学級をつくっていきたい(学級経営力の低い教師だと、子どもたちの不安な気持ちは一年中消えないだろう。ひどい場合には、不安な気持ちが高まっていくことさえある)。
そこで、4月から5月にかけて仕掛けていきたいのが、学級に対する安心感を高める「小さな道徳授業」である。
できればさまざまな視点から複数の「小さな道徳授業」を仕掛けていくとより効果が大きくなる。
2.おすすめの素材
SDKのインスタグラム(sdk_since2019)には、年度当初の「小さな道徳授業」に活用できる素材をいくつもアップしている。
次に示したのは、その一つである。
自宅近くの市民館の掲示板で発見した地域の人手作りのポスターである。
気配り 目配り 心配り
というありふれた言葉が並んでいるだけのポスターに見える。
しかし、このような当たり前のことが、学級全体で共有されることが安心感につながっていくのである。
3.言葉の意味を押さえる
この素材で効果のある「小さな道徳授業」プランを開発するためには、
三つの「配り」のちがいが説明できること
がポイントとなる。
意味を明確にすることが、子どもの言動の変容を促す授業づくりにつながっていくからである。
という私も、三つのちがいを明確に答えられるわけではない。
そこで調べることになるのだが、サイトによって多様な表現がしてあり、どの表現を選べばいいか迷うことも多い。
そのような場合には、
この素材で子どもたちにどのような認識をもってほしいか
ということを考えて決めるとよい。
今回の場合には、ぴったりのサイトが見つかった。Manner Up Magazine(日本マナーOJTインストラクター協会)である。
タイトルもすばり、
「目配り」「気配り」「心配り」の意味の違いを知って、魅力あるマナー美人になろう!
である。
気配り、目配り、心配りについてポイントとなる部分を抜粋してみよう。
・相手が次にどのような行動をするのかを察知し、行動することが気配りです。
・目配りとは、「いろいろなところに、注意を行き届かせること」です。そのためには、広い視野を持って、細かい点まで気づくことが必要です。
・心配りは、相手を思い、何をしてあげたら喜ぶのかなど、相手の心に寄り添い行動すること。
三つの配りのちがいが少し明確になってきたのではないだろうか。
4.自分自身を問い直すことが基盤になる
このサイトの冒頭には、次の言葉があった。
日常でもこの三配りができる人になれば、周りからの評価もグッとアップし、あなたの魅力がより伝わるようになりますよ。
これは教師自身にも当てはまることである。
そこでまずは
自分は、気配り、目配り、心配りができているのだろうか
と問い直すことをお勧めしたい。
教師が「三配り」を意識するだけで学級に対する安心感はかなり高まるだろう。そのような基盤をつくりつつ、「小さな道徳授業」を行うのである。
それでは、いよいよ今回の素材を活用した「小さな道徳授業」プランづくりである。
あなたには、どのような授業プランが思い浮かんでいるだろうか。
~~~解説編に続く~~~
【新刊】小さな道徳授業3
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