学級経営に生きる「小さな道徳授業」をつくる /// 第1回「小さな道徳授業」とは【解説編】
連載第1回 「小さな道徳授業」とは【解説編】
教師のチカラ編集委員 鈴木健二
より実践的に取り組んでいただくために、この連載は「問題編」と「解説編」に分けて公開しています。
本編は「解説編」ですので、「問題編」を読んでいない方は、「問題編」から読むことを推奨します。
1.解説編を読む前に
問題編で、発見した素材を教材化するための2つのポイントを提示した。
- 子どもの興味を高める提示の工夫をする
- 子どもが考えたくなる発問の工夫をする
このポイントをもとに自分なりの授業プランを考えたあと、解説編を読むことをお勧めしたい。
それが力量の向上につながるからである。
2.興味を高める提示の工夫
教材化するにあたって大切なのは、構成要素を細分化するということである。
細分化することによって、1つ1つの要素をしっかり意識することができるようになり、教材化のアイデアも広がる。
今回提示した看板の標語は、「やめようよ」「いじめ」「冷やかし」「知らん顔」という4つの要素で構成されている。この4つの要素のどれを隠すといいだろうか。
隠す言葉を選ぶときのポイントは、印象づけたい言葉はどれかを考えるということである。
私が選んだ言葉は、「やめようよ」である(複数を隠すというアイデアもあるだろう)。
なかなかやめることができないからこそ、このような標語があるわけで、やめるにはどうしたらいいかを子どもたちと考えたいと思ったからである。
3.考えたくなる発問の工夫
子どもたちが考えたくなる発問をつくるためには、とにかく思いついた発問をどんどん書いていくとよい。例えば、次のような発問である。
① 何のためにこんな看板が作られたのか
② 標語を考えたのは誰か
③ この看板は、効果があると思うか
④ 「やめようよ」と言われたら、やめるのか
⑤ いじめ、冷やかし、知らん顔をされたことがあるか
①は、看板の目的を問う発問である。作られたモノには、何らかの目的がある。その目的を問うことで、看板の意味が少し深く見えてくる。
②は、標語の作者を問う発問である。大人が作ったのか、子どもが作ったのか。誰が作ったのかによって、標語の意味がちがってくる。
③は、看板の存在意義を問う発問である。効果があるのかないのか、そう考えたのはなぜか。このような議論をすることで、思考が深まる。
④は、標語の内容を問う発問である。どんな言葉が、標語を見た人の心に響くのかを検討させたい。
⑤は、自分の経験を問う発問である。ほとんどの子どもが経験していることだろう。だからこそ、そのような行為を減らすためにはどうしたらいいのかを考えさせたい。
4.実践してみよう!
解説編で示したのは、アイデアのごく1部である。
ここまで読んできた人は、思考が刺激されて、さまざまなアイデアが浮かんできていることだろう。
そのプランをもとに、早速朝の会などを活用して実践してみよう。何らかの手応えを感じることができるはずである。
「小さな道徳授業」は、誰からも「知らん顔」をされていた看板をよみがえらせるのである。
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