学級経営に生きる「小さな道徳授業」をつくる /// 第7回 関連する情報を活用する【解説編】

作成者:
日本標準

連載第7回 関連する情報を活用する【解説編】
教師のチカラ編集委員 鈴木健二

より実践的に取り組んでいただくために、この連載は「問題編」と「解説編」に分けて公開しています。

本編は「解説編」ですので、「問題編」を読んでいない方は、「問題編」から読むことを推奨します。

問題編を読む

この記事の内容

  1. イラストについて話し合う
  2. ポスターの言葉について話し合う
  3. 共感力を高めようとする意識をもたせる
  4. 関連情報を活用するポイント

1.イラストについて話し合う

授業開始と同時に、「おもしろいイラストを発見しました」と言って、イラストのみを提示し発問する。
(『地域の国際化セミナー2022』ポスターより 主催:公益財団法人名古屋国際センター)

【発問1】気づいたこと、考えたこと、はてなと思ったことは何ですか。

次のような考えが出されるだろう。
 ・女の人が二人でハート型のものを抱えている。
 ・ハート型の地球になっているみたい。
 ・どうして地球がハート型になっているのだろう。
 ・大切そうなものを抱えている感じがする。
 ・ハートの上に三本線があるのはなぜか。
 ・にこやかな表情をしている。
 ・二人は友だちなのかな。

2.ポスターの言葉について話し合う

それぞれの考えを共感的に受け止めたあと、「このイラストは、ポスターに使われていたものです」と言って、「共感」を空欄にしたポスターを提示し発問する。

【発問2】空欄には、漢字二文字の言葉が入ります。何だと思いますか。

友情、親切、信頼、約束、笑顔などが出されるだろう。
出尽くしたところで
「共感
と板書する。

ポスターでは、「エンパシー」の意味を「共感」としていることを説明して発問する。

【発問3】どうして「共感」が人をつなぐのでしょうか。

「共感」の意味がわからないという質問が出た場合には、「国語辞典には次のような説明が書いてありました」と言って、辞典の意味を紹介する(関連情報の活用①)。

 他人の意見や感情を全くその通りだと感じること明鏡国語辞典)

共感の意味が理解できたところで、再度発問3をすれば、次のような考えが出されるだろう。
他の人の意見や感情を全くその通りだと感じることができれば、その人と仲良くなれるかもしれないから。
人の気持ちを受け止めることができれば、相手も自分の気持ちをわかってくれるから。

3.共感力を高めようとする意識をもたせる

出された考えのよさを学級全体でしっかり共有させたあと、発問する。

【発問4】あなたは、共感する力が高いと思いますか。

4段階で自己評価させる(高い…4、まあまあ高い…3、あまり高くない…2、高くない…1)。多くの子どもは2を選ぶだろう。あまり高くないと考えている子どもが多いことを確認して発問する。

【発問5】どうしたら共感する力を高めることができるのでしょうか。

難しい発問であるが、何か考えが言える子どもがいれば発言させ、大いにほめる。

「専門家は、次のように言っています」と言って板書する(関連する情報の活用②)。

 ① 相手の話をよく聞く
 ② 相手を理解する努力をする
           
(小学館Domani 公式ウェブサイト)

音読させたあと、次のように言う。

「自分が特に意識していきたいのはどちらですか」
しばらく間を置いて考えさせたあと授業を終える。

 

4.関連情報を活用するポイント

授業プランをもとに関連する情報を活用するポイントをまとめると、次の2点になる。

①  キーワードの意味を共通理解させるために国語辞典の意味を提示する
② 専門的な立場からの知見を、キーワードを日常生活に生かすための視点として伝える

2つのポイントを意識して授業プランを構成することにより、素材だけを活用した授業プランよりも一歩深い学びを促すことができるはずである。

 

編集部注:ポスターの情報元である名古屋国際センターによると、以下のような主旨でポスターを作成したとのことです。

本セミナーでは、同じ地域に暮らす外国人など、自分とは異なる価値観や背景を持つ人と互いに認め合うための第一歩として、「共感(エンパシー)」を考えました。セミナーでは、「共感する力」を高めるためには、「自分と相手との共通点を見つけていくこと」や、「『あの人は外国人だから』などのグループで一括りに判断するのではなく、その中のひとりひとりの違いに目を向けること」が大切であると紹介しました。

              

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