学級経営に生きる「小さな道徳授業」をつくる /// 第7回 関連する情報を活用する【問題編】

作成者:
日本標準

連載第7回 関連する情報を活用する【問題編】
教師のチカラ編集委員 鈴木健二

この記事の内容

  1. 共感力を高める
  2. キーワードについて調べる
  3. まずは国語辞典で調べる
  4. 一歩深く調べる

1.共感力を高める

『地域の国際化セミナー2022』(主催:公益財団法人名古屋国際センター)のポスターに次のような言葉があった。

「共感(エンパシー)が人をつなぐ」

「共感」は、前回取り上げた「いじめ」にアプローチするための重要な視点の一つである。

そこで、このポスターを素材にして一歩深い学びを促す「小さな道徳授業」プランを考えていくことにしたい。

2.キーワードについて調べる

今回の素材のキーワードは「共感」である。

一歩深い学びを促す「小さな道徳授業」プランをつくるために意識したいのは、
キーワードについて調べる
ということである。

「共感」という言葉は、日常的に使うことが多いので、知っているつもりになりがちである。
しかし、その理解は、一面的であったり、少し間違ってとらえていたりしていることも多い。

だから、授業で活用したい「キーワード」については、必ず調べてみるという習慣を身につけたい。
調べてみると「そういう意味もあるのか」などという発見があり、それが授業づくりに生きてくる。

3.まずは国語辞典で調べる

調べる第一歩は、身近なところにある国語辞典である。

調べる前に、自分が国語辞典の編集者だったら、「共感」をどう説明するか考えてみる(書いてみる)とよい。
そのあと調べると、自分の考えの足りなかったところが見えてきて、辞典の意味をより深くとらえることができる。

調べるときには、できれば複数の国語辞典にあたるとよい。

ここでは、広辞苑と明鏡国語辞典から引用する。

他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。同感。(広辞苑)

他人の意見や感情を全くその通りだと感じること。また、その気持ち。(明鏡国語辞典)

二つの辞典の意味を比較するだけでも、思考が刺激される。

また、説明に使われている言葉の意味(例えば「心的状態」など)についても調べたくなってくる。
さらに「全くその通りだと感じること」は簡単にはできそうもないなあ、などと考えさせられる。

4.一歩深く調べる

もう一歩深く調べたくなったら、関連する本を読むことをお勧めしたいが、日常的に実践する「小さな道徳授業」では、そこまでの時間をかけることができないことも多い。
そのような場合に手軽に深める方法が、インターネットによる検索である。

ちょっと検索してみると、次のような定義をしているサイトが見つかる(小学館 Domani 公式ウェブサイト)

「共感」の定義は、認知面と感情面に大きく分けられます。認知面は「相手の感情を理解すること」、感情面は「相手の感情を自分も同じように感じること」です。この2つの面を踏まえて、「共感」は、「他者の感情の理解を含めて、他者の感情を共有すること」であるとされています。 

国語辞典とはちがった視点で「共感」についての理解を得ることができる。

興味深いのは、「共感力を鍛える方法」が提示してあることである。
それによると、次の3つが挙げられている。

① 相手の話をよく聞く
② 経験を積む
③ 相手を理解する努力をする

こうして調べているうちに、エンパシーという言葉も気になってくる。
「エンパシー=共感」なのか
という疑問がわいてくるからである。

そこでエンパシーについて調べてみると、次のような説明が見つかった。

・自分と違う価値観や理念を持っている人が何を考えるのか「想像する力」
・相手が体感していることを、自分の身をもって体感できる能力
・苦しんでいる人がいる場所まで心理的に下りて、相手の気持ちをリアルに考えること
(https://www.workport.co.jp/plus/articles/5544)

このサイトでは、シンパシーと比較しながら、エンパシーとは何かを説明していたが、かなり深いところで相手を理解することが重要であることがわかってくる。

調べていくときりがないのだが、このようにある程度調べた上で、素材をどう活用するかを考えることが、一歩深い学びを促す「小さな道徳授業」プランにつながる。

関連情報を活用して「小さな道徳授業」プランをつくるとしたら、素材とどのように関連づければよいだろうか。
自分のアイデアを出してみよう。

               ~~~解説編に続く~~~

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