教師のその言葉かけ、大丈夫?///第20回「あと…」「それから」「もうひとつ」
子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。
この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。
局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。
ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。
1.「あと…」「それから」「もうひとつ」
朝の会や帰りの会、学年集会や全校集会など、子どもたちに話をする場面です。先生が話を終わりかけた時に「あとね」「それから」「もうひとつ」と話を続けてしまうことがありませんか?
話をしている最中に、「あれも伝えておかなくちゃ。」「ついでにこれも話しておこう。」なんて考えたのかもしれません。
2.問題の所在
話が長いのは一般社会でも好まれません。短く端的に話す方が好印象になります。
これは相手が子どもであっても同じです。「あとね」「それから」「もうひとつ」などと話を続けていると、話が冗長な感じになり、内容も伝わりにくくなります。
そして子どもを次のような状態にしてしまいます。
- 子どもの集中力を切らしてしまう
- それまでの話の内容もあいまいにさせてしまう
- 先生の話を聞かなくなる
3.こんな指導をしてみましょう
01.子どもの集中力を切らしてしまう
きちんと話を聞いている子どもは「先生の話はそろそろ終わりかな。」と雰囲気を感じ取ります。その雰囲気の中で「あと…」と続けられると、子どもは「えっまだ続くの?」「早く終わってよ。」という気持ちになってしまいます。
特に帰りの会や休み時間前など、後ろに楽しい活動が待っている時はなおさらです。
話をする時には「3つ話をするよ。」とあらかじめ数字を示し、見通しを持たせておきます。そのためには先生自身が話をする前に内容を整理して「もうひとつ」と付け加えないように心がけることです。
02.それまでの話の内容もあいまいにさせてしまう
話が終わりかけて「あと…」と続けることによって、それまで聞いていた話の記憶をあいまいにさせてしまいます。
例えば3つ話をする場合、「あと…。それから…。」と話をした場合と、「3つ話をするね。」と数字を交えて話した場合では、前者の方があいまいになりがちです。特に、「あと…」と付け加える前に話した内容があいまいになっていきます。
話す数を数字で示し、話す順番を意識しましょう。
03.先生の話を聞かなくなる
毎回「あと…」「それから」「もうひとつ」と長く、分かりにくい話し方だと、当初は「きちんと聞こう。」と思っていた子どもも、先生の話自体に魅力を感じなくなり、初めから子どもが話を聞かない状態になっていきます。
例えば、聞き取りやすい話し方のコツには次のようなものがあります。
①いくつ話すのか、予め数字で示す。
②大事なことを先に話す。
③「~です。」「~します。」といった端的な言い回しをする。
④具体的なエピソードを入れる。
4.目指す子どもの姿
先生が話をする時は、きちんと聞くことが理想です。
ただし、聞く力は形式的に子どもに要求するのではなく、先生自身も聞きやすいような話し方を意識する必要があります。
子どもが集中して話を聞いてくれないと感じた時は、「話の内容が難しくて伝わりにくかったかな。」「月曜だからまだ聞く構えが整っていないのかな。」などと先生が子どもの態度に応じて話し方を変えていくことも必要です。
コメント
コメントがありません