教師のその言葉かけ、大丈夫?///第16回「自分がされたらどうですか?」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「自分がされたらどうですか?」

友だちをたたいてけんかになる、人の物を勝手にとって使ってしまう、意地悪な言葉を使って友だちを泣かせてしまう、そんな低学年の子どもっていませんか? 何度注意しても同じことの繰り返し。その子どもを個別に呼んでこの一言。

「自分がされたらどうですか?」「自分がされたらどう思う?」「自分がされたら嫌でしょ!」

 

2.問題の所在

「自分がされて嫌なことはしない」ということは、先生(大人)の生き方として大切な考え方です。「自分がされたらどうですか?」「自分がされたらどう思う?」という言葉かけには、相手にしたことを自分の立場に置き換えて考えさせたいという願いが込められています。でも、この言葉かけ、子どもの発達段階によっては気をつけなくてはいけません。

 

01 発達上「自分がされたら」は分からない

02 自分がされて嫌なことは人それぞれ

03 いけないことを認識していない

3.こんな指導をしてみましょう

01.発達上「自分がされたら」は分からない

1・2年生の発達段階では、相手にしたことを自分に置き換えて考えるのは理解が難しいとされています。「自分がされたらどう思う?」ときかれて「イヤだ。」「悲しい。」と答えるのは、先生がその答えを望んでいる、と思っているからかもしれません。相手の気持ちを察することができるのは中学年ごろからともいわれ、有効に使えるのは高学年になってからになります。ですから、低学年には「あなたの大切なお母さん(お家の人)が同じことをされていたらどうですか?」「仲よしの○○さんがされていたらどう思いますか?」「○○さんも嫌でしょ?」と具体的な誰かを思い描かせる方がいいでしょう。

 

02.自分がされて嫌なことは人それぞれ

「自分がされたらどうですか?」ときかれて、「別に…」と答える子どもがいます。こんな時はつい「『別に』じゃないでしょ!」と言ってしまいそうになります。そもそも「されて嫌なこと」は大人でも人それぞれ違います。暴力・暴言は悪いことだとしても、その許容範囲が微妙に違います。ですから「○○さんは大切にしていた消しゴムを勝手に使われて悲しかったんだって。」などと相手の気持ちを代弁して伝えてあげましょう。

 

03.いけないことを認識していない

中学年・高学年であっても「自分がされたらどう思う?」ときかれて、反省の言葉が出てくるためには、何がどうしていけないのか道徳的な知識を認識していなければいけません。特に低学年では、

①何がいけなかったのかを教える

②同じことを繰り返さないこと

の二つを意識して指導にあたります。

「あのね、友だちをたたくのはいけないこと。理由がどうであれ、暴力はいけません。どうしても困ったら先生に言いなさい。もう友だちをたたいたりしないでね。できるかな?」などと話します。

4.目指す子どもの姿

子どもたちがけんかやトラブルなく過ごせることが一番です。ただ、けんかやトラブルを乗り越えながら成長していくのも事実です。小学校は、ちょっと前まで幼稚園児・保育園児だった1年生から、もうちょっとで中学生になる6年生まで様々な発達段階の子どもたちが生活しています。教師の言葉も学年や子どもの発達段階に応じて変えていくことも必要です。

 

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