教師のその言葉かけ、大丈夫?///第1回「静かにしなさい!」
子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。
この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。
局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。
ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。
1.「静かにしなさい!」と言わずに、静かにさせる
先生が「静かにしなさい!」という言葉をよく耳にします。先生がこの言葉を使う時は、次のような局面があります。
- 休み時間の後、なかなか静かにならなくて授業が始まらない。
- 授業中、話し合いの活動の後など先生が話を始めようとしても静かにならない。
- 友達が発表しようとしているのに、私語をしている。
- 教室がざわざわして落ち着かない。
2.問題の所在
教室が、がやがやしていても先生が「はい!それでは先生が話をします。静かに聞いてください。」とおだやかに伝えて、静かになるようであれば問題ありません。
問題なのは「静かにしなさい!」と言ってもなかなか静かにならない状態です。
例えば、先の「01」のような局面です。
チャイムが鳴って、日直の子どもが号令をかけようとしているのにワイワイガヤガヤ。日直の子どもがどうしようか困っていて、先生が「静かにしなさい!」と大きな声を出してしまうような場合です。
また、教室がざわざわしていて、しょっちゅう「静かにしなさい!」を言っている場合です。
ひどい時には「静かにしなさい!」を何度も繰り返し、だんだん先生の声が大きくヒートアップしてしまう状態です。
こんな時は、すでに「静かにしなさい!」の効果は失われています。
3.こんな指導をしてみましょう
「02」の局面であれば、毅然と「大事な話をします。静かに聞いてください。」と言います。
「03」の局面であれば、「今は友達が発表する番です。みんなは静かにする番です。話を聞きましょうね。」「話がしたかったら、次にどうぞ。」などと話します。
「04」のような局面が続いているようであれば、「静かにしなさい!」という言葉を使わない方法を考えてみる必要があります。
例えば次のような方法です。
- チャイムが鳴ったら、号令を待たずに授業を始めてしまう。
具体的には、フラッシュカードを用いてテンポよく授業を開始したり、黒板に問題を数問書いてノートに解かせたりします。作業をさせることによって静かにさせます。 - 絵や図、字を示して静かにさせる。
静かにしている子どもの絵やイラストをカード形式の書いて示すことで、言葉を使わずに静かにさせます。 - 穏やかに小さな声で話や授業を始めてしまう。
静かにならないと聞こえない状況を意図的に作り、子どもたちに「先生がもう何か話しているぞ」と気付かせ、静かにさせる状況に誘います。 - 静かになるまで待つ
ひたすらシーンとなるまで待ちます。全員が静かになったら話を始めます。ただし先生が話をしても、再び私語をし始めたらそこで話を止めます。
この指導は時間がかかりますが、そのうち「先生が話をしたり、教卓の前に立ったりしたら静かにしなくてはいけないんだ」という暗黙のルールが築かれるので、年度当初にきちんと指導し、定着させておくと後の指導が楽になります。
4.目指す子どもの姿
目指すべき姿は、たとえ友達と話をしていても、「静かにしなさい!」と言われる前に自分たちで状況を判断して静かになる姿です。
静かにさせるために、大きな声を出したり、手をならしたり笛を吹いたりという先生の命令・指示による指導もあるかもしれませんが、早い時期に子どもたち自ら考えて行動できる姿を目指したいですね。
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