教師のその言葉かけ、大丈夫?///第2回「いま言ったでしょ!」
子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。
この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。
局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。
ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。
1.「いま言ったでしょ!」
林修先生がテレビに出始めたころの子どもたちの会話です。
「林先生は『今でしょ!』だけど、先生は『いま言ったでしょ!』っていつも言うよね。」思わず笑ってしまいました。
「今日は雨で廊下が滑りやすくなっているので、ぜったいに廊下を走ってはいけませんよ」と休み時間前に話していた直後に廊下を走っていて注意される子どもたちに、この一言。
テスト前に「これ間違えやすいから気を付けるんだよ」と念を押した後のテストの採点をしていて、この一言。
「理科の実験で温度計は割れやすいから気を付けるんですよ。」と言い、温度を測ろうとした直後の「先生、割れました。」という子どもの声に対して、この一言。
さっき指導したはずなのに、なんでだろう。ため息とともに出てきます。
「いま(さっき・だから)言ったでしょ!」と。
2.問題の所在と指導
先生がこの言葉を出してしまう背景には「子どもたちは指導したことが分かっている」という前提があります。
賢い子は「そうだよね。先生の言ったことを守らないとね。」と思っています。
一方、ほとんどの子どもたちは悪気があって、廊下を走ったり、問題を間違えたり、温度計を割ったりしているわけではありません。
子どもの特徴として主に次の3つがあります。それを見極めてみましょう。
■気を付けていたけれど、やってしまった
注意していたけれど壊してしまった、気を付けていたけれど失敗してしまった、ということは子どもであればよくあることです。
こんな子どもについては、「次は気をつけようね」と優しく声をかけるだけでかまいません。子どもは失敗を通して成長していくのです。
■先生が指導したつもりになっている
先生は声に出して指導したと思っていても、子どもたちはその指導を聞いていない場合があります。そもそも耳に入っていなかったかもしれません。
こういう子どもが多い場合は「〇〇君、今先生が言ったことをもう一回言ってごらん。」「大事なことを言ったので、隣の人と確認してごらん。」と確認します。
また、黒板に書いて文字で分かるようにしておきます。
■ついやってしまった
次の授業の準備ができぬまま遊びに出てしまう、廊下を走ってしまう、などの楽しいことを先走ってしまう子どもがいます。いわゆる落ち着きのない子どもです。
そんな子どもには、先回りして個別に「〇〇君、算数の教科書とノートを出してから遊びに行こうね。」「この後、休み時間だけど走っちゃだめだよ。」と話をしておきます。
3.目指す子どもの姿
目指すべき子どもの姿は、1度聞いたことを忘れずにきちんとできる子どもです。
でも、これは大人であってもなかなか難しいものです。
「いま言ったでしょ!」と言いたくなる気持ちは分かりますが、子どもはすぐに忘れてしまうもの。
1回言った程度では覚えていません。
失敗を繰り返して定着するもの、と思っておくことで、いらいらすることなく指導に向かえます。
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