教師のその言葉かけ、大丈夫?///第21回「ちょっと待って!」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「ちょっと待って!」

休み時間に子どもたちが「先生! あのね!」と教卓に集まって来ます。仕事を優先させて「ちょっと待って!」と一言。
職員室に子どもたちが「先生! 来て! すごいよ!」とやって来ます。「テストの採点をしているから、あとでね」と一言。

先生が作業中だったり、仕事を優先させたりしたい時につい出てくる言葉です。

2.問題の所在

子どもたちは今その瞬間を生きています。小学校の低学年であればなおさらです。一方の大人は、時間を有効に、効率的に使おうとしています。

子どもの感動や驚きの発見などは、一緒に共有するだけで人間関係がグッと近づきます。

子どもの「聞いて!」という言葉は、その瞬間だけのもの。それを「ちょっと待って!」と逃してしまうのはもったいないことです。

  1. 伝えたいことを忘れてしまう
  2. 子どもの感動を盛り下げてしまう
  3. そのうち先生に話しかけなくなってしまう

3.こんな指導をしてみましょう

01.伝えたいことを忘れてしまう

低学年の子どもは思ったことをすぐに口に出します。子どもが「聞いて! 聞いて!」と言いに来た時は、その時に聞いてほしいことなのです。

「ちょっと待って」と言ったあと、一仕事を終え「さっき言おうとしたことはなぁに?」と聞いた時には、「なんだったっけ?」と忘れていることもしばしばです。

教卓で仕事をする際は、最初から「教室は子ども優先の場所」という気持ちで過ごしてみましょう。

 

02.子どもの感動を盛り下げてしまう

子どもは感動したことや面白いものを見つけたら、たくさんの人と共有したがります。そこには先生も含まれます。

子どもが嬉々として「ねぇねぇ!」と言ってきた時は、「すごいね」「面白いね」「楽しかったね」と感情を共有したがっているのです。
この時の先生の「ちょっと待って!」という言葉は共有を断られたのと同じ思いにさせ、興ざめしてしまいます。

ちょっと手を止め「何があったの?」「どうしたの?」と聞くだけでも、子どもは十分に満足してくれます。

03.そのうち先生に話しかけなくなってしまう

先生がいつも「ちょっと待って!」「あとでね。」と言っていると、子どもたちが「先生は今、宿題見ているから忙しそうだね。」と先生の様子をうかがったり、「どうせ先生に言っても聞いてくれないよね。」というあきらめの気持ちになったりと、だんだん話しかけてくれなくなります。

どうしても仕事を優先する時は、「今すぐの話?」「この日記のコメントが終わるまで待ってくれる?」「3分経ったらみんなの所に行くからね。」などと作業の終わりを子どもに伝えた上で、仕事に取り掛かりましょう。

4.目指す子どもの姿

子どもから先生に話しかけてくれるというのはうれしいことです。子どもの心が先生に開いている状態です。

時間の感覚は大人と子どもでは全然違います。大人の「ちょっと」と子どもの「ちょっと」では、子どもの方が短く考えています。また、大人の5分は子どもにはとても長く感じているようです。

きっと先生になり始めたころは「子どもの話をしっかりと聞いてあげたい。」と思っていた方も多いはず。
新しい年が始まるにあたって、一度初心に戻ってみてはいかがでしょうか。

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