教師のその言葉かけ、大丈夫?///第12回「いいでーす!同じでーす!」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「~はどうですか」「いいでーす!」「同じでーす!」

宿題のドリルやプリントの答え合わせをしていて1人ずつ順番に答えを言わせる場面。

「○○さん答えは?」「16です。」「今の答え、どうですか?(いいですか?)」に対して、他の子どもたちから「いいでーす」の返答。

授業中発表した意見に対して「どうですか?」と先生。それに対して「同じでーす」の大合唱。

「主体的・対話的で深い学び」が大切だと言われる中、考えてみたい先生の言葉かけです。

 

2.問題の所在

「いいですか?」「いいでーす!」や「どうですか」「同じでーす」というお決まりのパターン。なんだか機械的なやりとりに見えませんか?

このやりとりの問題点として以下のようなものがあります。

 

  1. 分からなくても分かったふりをしてしまう。
  2. 子どもの発言を規制してしまう。
  3. 発言する子どもにプレッシャーがかかる。
  4. 授業が形式的になってしまう。

 

3.こんな指導をしてみましょう

01.正誤は先生が言う

宿題のドリルやプリントなどの答え合わせの際、原則として問題の正誤は先生が言いましょう。

正誤の判断は子どもが正解を知っているという前提の上で成り立ちます。実際は、間違えていたり、解けなかったりする子どももいるはず。

すると、他の子どもたちに合わせて適当に「いいでーす」を言うことになります。

分からなくても解けていなくても、分かったふりをさせてしまい、できない子どもを置き去りにしがちです。

 

02.同じでいいから言ってごらん

友だちの意見に対して「同じでーす」という対応を許していると、意見が言いにくい子どもは「とりあえず『同じでーす』と言っておけばいいや」という気持ちになります。

また、違う意見を持っていたとしても「同じでーす。」の後では「違っているのかな。」「大丈夫かな。」と不安にさせてしまいます。

ですから「同じでーす。」と返ってきた場合は「同じでいいから言ってごらん。」と指名します。すると「同じ」と言っておきながら、意見の違いが見えます。

「ちょっと違う意見ですね。同じじゃないね。」とフォローします。「似ていてもいいよ。」「そっくり同じでもいいから言ってみて。」と発言を促すと多面的・多角的な意見が出てきます。

 

03.分からない時は「自信がないけど」と付け加えさせる

宿題のドリルなどの答えを列指名などで順番に答えている場面などで「どうですか?」「いいでーす!」が連続すると、正解することが当然のように思えてきます。

問題が分からなかったり、解けなかったりした子どもにとっては相当のプレッシャーがかかります。

正誤は先生が言うことにしても、自信のない子どもにとって発表すること自体が勇気のいることです。そんな時は「自信のない人は答えを言う前に『自信がないけど○○です』と付け加えてごらん。」と話しておきます。

その言葉を聞きながら先生は間違えた場合に備えてフォローする言葉を用意しておきます。

04.1人ひとりの意見やつぶやきを大切に

子どもたちが「いいでーす。」「同じでーす。」を連呼するような授業は、一見、先生の思い通りの展開として時間通りに進んでいくかもしれません。

でも、それは先生にとって都合のよい授業ということ。これからの授業は一人一人の意見がタブレットなどで発信できる時代です。

先生の発問から、拡散された様々な意見を集約し、収束・収れんしていくことが授業の中心となっていきます。

「いいでーす。」「同じでーす。」より、「一緒だね。」「違うね。」「どうして?」「だってね。」というやりとりが生まれる授業を考えていきましょう。

 

4.目指す子どもの姿

先生の理想とする子ども像・授業像はどのような姿でしょうか。私は授業中、自ら子どもたちが問いをもち、自分たちで解決していく姿を目指しています。

それは子どもたちが自分の言葉で考えたことを発言し、それを一生懸命聞く姿です。先生に忖度するような子どもたちにならないように心がけたいものです。

 

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