教師のその言葉かけ、大丈夫?///第5回「もう○年生なんだから!」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「もう〇年生なんだから!」(〇年生でしょ!)

新しい学年が始まってしばらく経ちます。

進級してそのまま張り切って頑張っている子どもたち。

一方で「休み時間遊んでいて3時間目の始業に間に合わなかった。」「忘れ物をいつもしてしまう。」「宿題をしてこない。」「掃除をきちんとしない。」「班長なのに、下級生を指導できない。」など、いつもと変わらない子どもたち。

5月、6月になっても子どもの成長が見えず、前の学年と変わりない行動を見た時、つい「もう2年生なんだから!」「もう高学年でしょ!」「もう6年生になったんですよ!」などの一言を添えてしまいがちです。

 

2.問題の所在

この言葉が出てしまう要因は、先生の理想とする子どもの行為像と現実との大きなギャップを感じていることにあります。

特に進級してすぐや、しばらく経ったころは、その学年としての子ども像の期待値が高くなってしまいがちです。

同じ学年でも、1学期の最初の頃の姿と3学期の姿では心身の成長も行動面も違います。

また、学年が上がれば成長するかのように思いがちですが、時間と共に行動面の成長が一段上がるわけではありません。

自分なりに自覚して頑張れる子どももいますし、変わらない子どももいます。「もう高学年なんだから!」と言われても、「そんなこと言われたって…」と反抗的な態度になる子どももいます。

多くの子どもたちは、その学年にふさわしい役割を与え、きちんと指導し、褒めたり認めたりしなくては成長しません。

行為・行動の成長は人それぞれです。教師の働きかけによって子どもたちは成長していきます。

3.こんな指導をしてみましょう

「もう〇年生でしょ!」というNGワードに変わるポジティブワードから、その学年らしさを身につけていくための指導法を示します。

 

01.さすが〇年生だね!

本来であれば当たり前の行為・行動をした時でも、「さすが〇年生だね」と一言添えます。

また、1学期も半ばを過ぎたころになれば、手伝いをお願いした時やいいなぁと思う行為・行動をした時には「〇年生らしくなってきたね」と一言添えます。こうした声をかけることで、自信をもちどんどん良い方向に伸びていきます。

 

02.やっぱり〇年生だ!

「これ、できるかな?」と課題を示し、できた時に「やっぱり〇年生だ!」「できると思っていたよ」と一言添えます。

「やはり」という語には「期待される所を裏切らない」(新明解)という意味があります。子どもの期待値を少しずつ上げていきます。

 

03.最上級生と最高学年

6年生には「最上級生」と「最高学年」の言葉の違いを意識させます。

何となく6年生には「最高学年なのに!」と言ってしまいがちです。6年生は「最上級生」ではありますが、「最高学年」とは限りません。

その学校の最高の姿を見せている学年が「最高学年」ですから、5年生や4年生が最高学年の学校だってあるのです。

ですから6年生には二つの言葉の違いを示しながら「毎年この学校の6年生は最高学年の看板を背負ってきました。君たちもぜひこの伝統を守って行動していってください。」などと話します。

 

04.「○年生たるもの」

その学年らしさを教える時に「高学年たるもの『手伝って』と言われたら、進んで手伝うものですよ。」「4年生たるもの自分のことよりもみんなのことを先に考えるんですよ。」などと、その学年にふさわしいふるまいを教えていきます。

 

4.目指す子どもの姿

その学年相応のふるまいは周りが見て決めているだけです。

子どもたち本人には関係ありません。子どもたち自身は学年が変わっても普段と同じように過ごしているだのです。

その学年らしさというのは、1回の指導でうまくいくわけではありません。1学期から1年通してという中期的なスパンで育てていくことを考えていきましょう。

人は周りからかけられる言葉に影響されていきます。

「なったのに」では「なったんだよね。だったら~できるかな。」などと、もう子どもたちは「上の学年になったんだ」という意識を高めていくことが大切です。

 

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