教師のその言葉かけ、大丈夫?///第11回「宿題やってきなさい!」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.宿題やってきなさい!宿題しなさい!

宿題を出します。翌日、点検をすると宿題をやってこない子どもがいます。

1日忘れたのなら「仕方ないですね。次はちゃんとやってきましょう。」で済ますのですが、2日目・3日目と何日も宿題を出さない状態が続くと、声に出してしまいます。

「宿題やってきなさい!」「宿題しなさい!」と。

 

2.問題の所在

宿題の是非については様々な考えがあります。宿題についての論は別の場に委ねるとして、ここでは、宿題を出したものの、やってこない子どもがいる状態について考えてみます。

宿題をやってこない理由としては、次のようなものがあります。

 

  1. 宿題をやる気がない。やろうとしても遊びに夢中で、宿題の優先順位が低い。
  2. 宿題をする時間がない。宿題をしようと思っていても、放課後はスポーツや音楽などの習い事をしていたり、兄弟のお世話や家庭の事情があったりして、家での宿題の時間をとることができない。
  3. 宿題をしようと思っても自分で解けない、分からない。

 

3.こんな指導をしてみましょう

「宿題やってきなさい!」「宿題しなさい!」というNGワードを言ってしまいそうなときは、子どもの実態の応じて次のように考えてみましょう。

 

01.いつ宿題をするか決めておく

子どもが宿題しないのは、遊びやゲーム優先、メディア視聴の方が優先になっているからです。やりたい事を先に行い、面倒くさいものは後回しにしてしまうのが子どもの本音です。

帰ってすぐに宿題をすればよいのですが、それに負けてしまっているのです。ですから事前に学校から帰る時に「今日はいつごろ宿題する?」と自分で決めさせましょう。

自分で決めたことなら「帰ったら先に宿題をするんですよ」と声をかけるよりも効果的です。

こうした子どもは、自分で自分を律することが難しい子どもでもあります。「誘惑に負けまい力をつけようね」「やるべきことを先にすることが大事ですよ」と心の在り様に働きかけて見ましょう。

 

02.学校でやってもよい

放課後の子どもは、何もせず過ごす子どもと、習い事をしていて放課後忙しくしている子どもの二極化していると言われます。夜遅く習い事から帰ってきて、眠い目をこすりながら宿題をしたという話も聞きます。

そんな子どもがいる場合は早めに宿題を伝えて「休み時間に宿題してもいいよ」「学校でやってから帰っていいよ」と学校で宿題をする時間をとってあげましょう。

限られた子どもに許可を与えるのではなく、学級全体に「時間を上手に使うことは勉強方法を学ぶ大事な学習だよ」などと話してもいいでしょう。

 

03.解けるか解けないか、分かるか分からないかが分かるのも大事

宿題が子どもの能力に合っていなければ、子どもは「宿題をしない」のではなく「宿題ができない」ことになります。

そもそも学校で解けない問題は、家で解けるはずがありません。ましてや学校の仕事である学力保障をお家の方に任せてはいけません。

こうした場合は、例えば算数の宿題を出した時、「分からなかったらそのままでいいよ」「どの問題ができて、どの問題ができないのかに気付くことも大事な宿題の勉強だからね」「分からなかった問題は学校で復習しようね」と話しておきます。

 

4.目指す子どもの姿

めざす姿は、宿題を全員がやってくることです。ただし、そのためには全員が宿題を解けるための力をつけておかなくてはいけません。

算数の練習問題などは先生の方が意識して「この宿題を出しても大丈夫かな?」と確かめてみましょう。一方で、①漢字ドリル、②日記、などは1人でやりやすいものです。

宿題の効果として、その日に習ったことを、少し時間を置いて復習すると記憶が残りやすいエビングハウスの忘却曲線などから宿題が効果的になる話をしてもいいですね。

 

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