ウィーン・飛ぶ教室///第7回:ウィーン散歩①―衣類回収ボックスと公園―
以前お話しした通り、ウィーンでわたしは子どもたちの送迎係です。今回は送迎の行き帰りの日常で見かけたおもしろいものをご紹介したいと思います。
古着・古靴回収ボックス
まずは、日常のごみ捨てについて。私たちが住んでいるアパート内には、共同のごみ捨て場所があります。ここに捨てられるのは、生ごみと紙ごみだけです。
ワインの瓶(オーストリアのワインはとてもおいしいのです!)やビールの缶、牛乳パックやペットボトルなどの資源ごみは、街角においてあるゴミ捨て場に持っていきます。いつ持って行ってもかまいません。
ウィーンの古着・古靴回収ボックス。街のいたるところに設置されている。
ゴミつながりで、素晴らしいものがウィーンにはあります。日本ではいつも子ども服の処分に困っていました。あまり着ないままにサイズアウトしたもの、思い入れがあってサイズアウトしたけど処分しがたいもの等々……。
自分の洋服も、産後の体形の変化でサイズアウトしたものがたくさんあります……(涙)。
日本では、知人に譲ったり、保育園に譲ったりしました。ネットで売り出すこともできるでしょう。
前者は、もらってくれる人がいない場合もあって困ります。受け渡しの日取りやお礼など気を遣うこともあります。後者はわたしには面倒でできません。そして欲張りなことに、私は買い物が好きなこともあって、それぞれの洋服に思い入れがあって、古着だけれど、大切に使ってくれる人に譲りたい、という気持ちがあります。
そんな私に最適のものをウィーンで見つけました!
古着、古靴を寄付することができるボックスです!街のいたるところで見かけます。子ども服だけでなく、もちろん大人の衣類、靴も入れることができます。
困った人々に使ってもらえると思うと、服を捨てるという罪悪感から解放された上に、良いことをした気持ちも得られます。帰国の際には、ここにたくさんの洋服を入れて帰ることになると思います。
ちなみに、フランスでは、洋服と靴に加え、シーツなどの布類、カバンも回収してくれるボックスを見つけました。
フランスで見つけた古着回収ボックス。カバンや布も入れられるとある。
充実した子どもの遊び場
ウィーンでよくいく場所は公園です。英語の授業で、公園はparkと学習したものですが、日本の公園という言葉は、代々木公園、駒澤公園といった市民の憩いの大きな場所を指すと同時に、子どもたちの遊び場所という意味でも使われます。
ここでは、後者の意味で使いました。ドイツ語では、Spielplatz、英語ではPlaygroundと言います。どちらも遊ぶ場所という意味です。
ウィーンはこの遊ぶ場所の意味での公園がとても充実しています。わたしたちはウィーンのほぼ中心部に住んでいますが、徒歩圏内の大きな遊び場所が3か所あります。
これらの遊び場所は、大人の腰ぐらいの高さの扉とフェンスで仕切られています。
園内は、遊ぶ目的と年齢層によって、きちんとゾーニングされています。
遊具も充実しています。すべり台やブランコは、1,2歳ぐらいを対象にしたものと、それ以上の子供たち用の2種類がゆるくゾーニングされてあります。
それらとは別にサッカーやバスケットボールなどのコートはまた別に高いフェンスで区切られた場所が確保されています。
遊具の設置されているところには木材のチップが一面に敷かれています。仮に落ちたとしてもやわらかいので心配ありません。
この木材チップが敷き詰められた地面は保護者にとってとても安心できるものです。子どもが高いところに上っても「危ないよ。落ちるよ。気を付けて。」と言わずに済むからです。
だからでしょうか、かなりの難易度の高い遊具が設置されていると思います。このチップは1年に1度程度、そっくり入れ替えられます。早朝の公園でその作業を見かけたことがあります。入れ替えの後は、本当にふかふかです。木材チップや人件費など、その費用は相当なものだと思います。
この木材チップの地面が日本にも導入されればいいのにと思います。
ただし、気候の違いがあって難しさもあります。つまり、日本は湿気があるので、木材チップにカビが生えたり、虫が湧いたりする可能性が考えられます。
一方で、ウィーンはとても乾燥しており、また風の強い地域でもあるので、日本のような砂地では砂埃がひどくなるために、木材チップは適しているのです。
しかし、そういう難しさを承知の上で、日本の公園で、遊具の一部にだけでも、この木材チップの地面は検討してもらいたいと思うのです(日本では、比較的柔らかな素材の地面を採用している公園もあります。木材チップもすでに取り入れられているところがあるかもしれません)。
もうひとつ、公園には固定されたテーブルと椅子がいくつか設置されています。ベンチもあります。
真冬をのぞいて、週末には子どもの誕生日パーティが開かれたりしています。コロナ禍という状況も手伝ってか、とても盛んにおこなわれています。
わたしたちも晩秋くらいまでは、週末ごとに「乾きもの」のお弁当と水筒を持って、公園でお昼をすませて帰ったものです。水飲み場もあるので、手を洗ったり、水筒に水を足すこともできます。
次回も、ウィーン散歩を続けてみたいと思います。
伊藤実歩子(立教大学文学部教授)
筆者注
なお、コロナの状況やそれに関する法案やルール、またあるいはウクライナを含む世界情勢については、日々情報が更新されます。この記事がアップされる頃には全く様子が変わっているということもあります。できるだけ正確に書いておくつもりではあるのですが、このエッセイ全般にわたり、現在の状況を書いたものではないことをご理解いただきたく思います。
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