國本真吾先生が「第8回 大学評価学会 田中昌人記念学会賞」を受賞しました。

教育図書

『ライフワイドの視点で築く学びと育ち: 障害のある子ども・青年の自分づくりと自分みがき』(日本標準ブックレット No. 26) の著者・國本真吾先生が大学評価学会第21回全国大会において「大学評価学会 田中昌人記念学会賞」を受賞しました。

【受賞理由】
受賞業績は、國本会員がこれまでに著した論稿を加筆修正し、「障害のある子ども・青年の自分づくりと自分みがき」を志向しつつ、国が進める障害者生涯学習支援とは異なる新たな提起として 「ライフワイドの視点で築く学びと育ち」を論じたものである。
大学評価学会において、青年の教育権保障、青年の発達保障の探究は 設立以来の大きなテーマであるが、障害をもつ青年の中等教育後の社会への移行や成人後の生涯発達はこれまで十分に取り組まれてきたとはいえない。そのような中で國本会員はこれまで一貫して、障害のある青年の発達保障について取り組んできている。本業績では中等後教育に位置づく専攻科に留まらず福祉型の専攻科・カレッジ・大学をも対象に加え、青年期の学びの場(もしくは教育と学習)を通じた発達保障を豊かに展望している。例えば、キャリア教育で喧伝される「職業的自立」を批判的にとらえながら、「ライフワイド」の概念に基づき、横への広がりをもって、社会への移行とその後の生活をとらえる観点は、青年の生涯発達を視野に入れながらも、「今ここ」の青年の幸せを重視する中等後教育を創造するために必要な観点だと思われる。
また、青年の学びの要求から福祉領域で展開された「専攻科」の紹介において、「専攻科」「カレッジ」という名称利用に関する整理・分析がなされているが、ここにも、青年の発達要求に基づく新たな「学びの場」創出の創造的なプロセスが見て取れ、今日の大学教育改革のプロセスの問題性を想起させるものとなっている。ブックレットという形状のゆえ紙面の制限もあり、これらの青年の学びをささえる制度・政策的な課題について十分な整理がないことは残念ではあるが、「おわりに」において、その理論的土台がすでに整理されていることが見てとれ、今後の発展が確実に実現されるものと見込まれる。
本業績で得られた知見は障害の有無を問わず、大学教育のあり方や大学における青年期の発達保障のあり方を検討するのに有益な視点を提供しているものである。本学会における青年期の発達保障研究のさらなる発展に寄与する業績であり、本学会・田中昌人記念学会賞に相応しい研究内容及び実践示唆となっていると考える。

國本先生、おめでとうございます!

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